急性中耳炎
症状
耳痛:中耳に溜まった膿みにより鼓膜が圧迫されると痛みを感じます。 初発症状となることが多いです。 |
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耳漏:鼓膜に穿孔が生じることにより、粘膿性の分泌物が出てきます。 鼓膜に穿孔がおこって耳だれがでると痛みは軽くなります。 |
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耳閉塞感・自家強声:耳痛とともに初期症状として訴えられます。 | |
機嫌が悪い:言語獲得前の乳児では、自覚症状の表現である場合が多いです。 | |
発熱:軽度~中等度(38~40度)のことがあります。 |
原因・誘因
かぜ(上気道炎)の炎症が中耳への波及することで起こる中耳の細菌感染です。つまり、原因起炎菌(インフルエンザ菌・肺炎球菌等)が、鼻やのどから耳管(鼻腔と中耳をつないでいる管)を経由して中耳に進入して発症します。
特に、両鼻をいっぺんに強くかむと鼻咽腔(鼻の奥)の細菌が耳管からに中耳に送られ、中耳炎発症の誘因となります。かぜでの鼻かみはやさしく片方づつ行うことが大切です。
好発年齢
小児期に(0歳~10歳)に多く罹患します。
局所所見
- 発赤:炎症により血管が拡張し充血するためにみられます。
- 膨隆:鼓室(中耳腔)内に炎症による分泌物(膿)が充満し、内圧が高まることにより生じます。中耳がおでき状態になっているとかんがえてください。
- 穿孔:膨隆が極期に達する(おできが破れる)ことにより生じます。ここから外耳道に膿が出て来ることになります。
左耳正常鼓膜
右耳・急性中耳炎(鼓膜の膨隆)
治療
局所治療と全身治療の組合せでなおします。
局所治療
- 鼓膜切開:鼓膜に膨隆がみられ、耳痛が強いときや、発熱がある場合には、鼓室内の分泌物を排除することによって症状が軽快し、治癒を促すので行われます。
- 耳内処置(鼓室処置):耳漏のある場合には、これを清拭または吸引除去した後に、点耳治療を行ったりします。
- その他の処置:根本の原因である、鼻・咽頭の炎症に対して局所処置が行われます(鼻ネブライザー療法、など)。
全身治療
- 抗菌薬物治療:中等度以上の中耳炎では、起炎菌に対応した適切な抗菌薬が選ばれて投与されます。二大起炎菌である肺炎球菌とインフルエンザ菌を目標にした薬物が第一選択です。
- 対症治療:耳痛・発熱のあるときには、鎮痛解熱剤が投与されます。 症状が軽度の時は、この治療のみで済みます。
- かぜの一般的治療:安静、発熱には冷庵、うがいの励行、といったかぜの対処を行います。
予後
予後は一般に良好です。いったん発生した鼓膜穿孔も数日で閉鎖して治癒するのが普通です。しかし、不適切な治療や、治療を受けないで放置されたままにしていますと、鼓膜穿孔がそのままの状態で残り、慢性中耳炎になることがあります。また、急性中耳炎から滲出性中耳炎に移行し、治癒まで長引くことがありますので、治療継続の要不要については、自分で決めないで主治医と相談されるほうがよいです。